娘から学んだこと

娘から学んだこと

保護者からの寄稿

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 入試から早2か月が過ぎました。この一年が幻のように感じます。プリントやテキストの山、先生方のコメント、そして何より第一志望校からの合格通知書が今までの日々が幻でなかったことを物語っています。娘には娘のストーリーがあり、親には親のストーリーがあったこの一年。決して綺麗ごとだけではなかったです。

 娘は3年生から5年生まで他塾でお世話になっていました。5年生になり、希学園でのイベントに参加し、転塾したいと言い出しました。6年生の転塾はリスクを伴うこと、通塾距離が長くなり帰宅がこれまでより遅くなること、塾の友だちと別れること。それらを告げても揺らがない娘の決心。5年生の秋になり、成績が落ち始めた娘が現実逃避しているだけではないかと、家族で何度も話し合いました。しかし、どんなに大変でも希学園で最後の一年を迎えたいという娘。親も腹を決めました。

 転塾早々、宿題の多さと授業スピードの速さに戸惑いました。帰宅し、お風呂に入ってから勉強すると眠くなる娘。それならばと朝のシャワーに切り替えました。そんな中、睡眠不足により娘が体調を崩しました。それからは遅くとも0時までには就寝し、6時から勉強しようと決めました。元来、朝方の子どもなので、それほど苦にはならなかったようです。

 夏になり、夏期講習に行った娘の部屋を片づけていると、未提出のテスト直しノートが出てきました。しばし我が目を疑いました。提出して返却されてないと言ってたはず…。帰宅した娘を問い詰めると、素直に非を認めました。「どこまで自分に甘いのか。あなたの決心がそんなものなら受験なんかやめなさい」と告げ、塾に相談しました。ことの次第を告げると片岡さんが対応してくれ、娘にも話してくれました。あの時、親身になって話を聞いてくださったことは本当に助けになりました。

 秋がくると、塾での勉強時間も長くなり、ほとんど家に居なくなりました。親の私にできることは、健康管理と宿題管理。仕事を言い訳にしたくはありませんが、働きながらのサポートは、辛い時もありました。この頃、各校のプレテストも受験しました。このプレテストは、入試の傾向のみならず、学校への所要時間、雰囲気、テスト中の親の過ごし方など、とても参考になりました。プレテストの後は希学園へ自習に行き、そのまま授業を受けて帰宅。「しんどい。疲れた」と口にしていました。「疲れたなあ。明日は休んでいいよ」と言ってやれたらどれだけ楽だったか…。「今、甘やかすのは簡単だけれど、一生の後悔を背負わせてしまう」と心を鬼にしました。

 いよいよ二学期も終わりに近づきました。街中にはイルミネーションが灯り…のはずが全く記憶にありません。記憶にあるのは「なんで算数がこんなに悪いんだろう。見直ししたのに」と肩を落とした娘の姿です。雑に書くから間違える。図や表を丁寧に描かない。線を引かない。でも気ばかりが焦る。何度言っても聞く耳を持たない娘と口論になり、父親が仲裁に入ることもありました。そんな状況の娘を、チューターの木原先生が何度となく助けてくださいました。娘は口が重く、コミュニケーションをとるのが苦手です。そんな娘を根気強く御指導くださった木原先生には感謝しかありません。

 年が明け、入試まで後少しとなりました。入試対策ではそれなりに勉強していた娘。しかし元日のプレ入試での算数は驚くほど悪かったです。この期に及んでテストの点数で一喜一憂はやめようと思っていたのですが、その覚悟はもろくも崩れました。父親も交え、本当に受験するのかを話し合いました。どんなに説得しても「四天王寺中学を受験する」と言い張る娘。「わかった。そこまで言うなら受験すれば良い。でも絶対に合格しなさい。あなたの本気を見せなさい」と告げました。それからの娘は、迷いが吹っ切れたように本当に真剣でした。ある日、出勤前に娘の姿を見たら、それまでになく逞しく見えました。いつの間にこんなに逞しくなったのか…。あんなに精神的に弱かった娘を、ここまで導いてくださった先生方に心から感謝しました。彼女が選んだ志望校、必ず御縁がある。中学受験は大変だけれど、絶対に正しい選択をしたはずだ。と本当は娘以上に不安だった自分に言い聞かせていました。

1月15日
 緊張した面持ちの娘を試験会場に見送る時、それまでのことを思い出していました。「ちょっと難しい理科のお勉強がしたい」と中学受験を言い出した娘。名の如く、自然や天体や山登りが好きな娘が不器用ながら挑んだ受験。何度も叱られ耳の痛いことを言われ続けたのに、やめると一度も口にしなかったのは何故なのか。それほどまでにこの学校で勉強したいのか。ならば必ずやり遂げる。そう信じて待つことしかない辛さを感じていました。午前の四天王寺中学入試が終わり、午後は帝塚山中学へ。底冷えのする奈良は、校舎内で待っていても寒かったです。
1月16日
 「昨日の四天王寺の算数、いつもよりできた」と言う娘の言葉に夫婦でフリーズしました。まずい…。娘がそう言う時は大体ができていない…。まあ悔いなく受験できたならそれでいいか。午前は清風南海中学、午後は大谷中学へ。木原先生がいらっしゃったので、娘の居ない隙に四天王寺中学がダメだった場合の相談に乗っていただきました。大谷中学の入試が終わり、帰宅してから帝塚山中学の発表を見ました。英数コース合格の文字に複雑な顔の娘。「お母さん、どうしよう。明日も受験した方がいいかな? 明日は4科だし、2科よりも自信はある。でも四天王寺の発表も見たい」コースアップと合格発表。天秤にかけても決められず、塾に相談しました。「帝塚山中は入学してからでもコースアップできます。本人の意向を汲んで四天王寺の発表を見せてあげてください」「でも、もし番号がなければ大きな傷になってしまいます」と言う私に「それでも今後の人生においての糧となります」と背中を押してくださり、掲示を見に行く決心をしました。
1月17日
 寒い日でした。合格発表を前に怖気づく娘に「怖いのは真剣に頑張ったから。この一年、本当によく頑張った。さあ覚悟を決めて結果を見届けよう」と連れて行きました。自分の番号を見つけた時、「あった」と一言言った後、大きな安堵のため息をついていました。ああ、娘は自分で御縁を引き寄せたな。本当にやり遂げたと思った瞬間、自然と涙が出てきました。その後、大谷中学と清風南海中学も確認。両校ともに合格をいただきました。

 中学受験ではよく「合格を勝ち取る」と言う表現が使われます。確かに定員が決まっている以上、勝負なのでしょう。しかし、一人っ子故か、良くも悪くもあまり人と競うことのなかった娘に対して、私はこの言葉に違和感がありました。娘は本当に雑で不器用で、何度もご指導をいただきました。最終的に娘が合格するために本気で自らの欠点を正そうとした時、合格の二文字が見えて来ました。「努力が結果を連れてくる」と木村先生はハチマキに書いてくださいましたが、本当にその通りだと思います。真剣に自分自身と向き合うことは時として痛みを伴うけれど、それをなくして成長はあり得ないことを娘から学びました。娘が勝負したとすれば、それは他者ではなく彼女自身だったのでしょう。中学受験は我が家にとって精神的にも体力的にも経済的にも大変でしたが、それらを上回る学びが私たち家族にもありました。娘が下した転塾の決断は正しかったです。

 この一年間、娘のみならず私たち家族も大変お世話になりました。本当に有難うございました。
 末筆ながら希学園の益々のご発展をお祈りいたしております。

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